私のだんな様は、毎朝平安時代の人になる。
結婚した頃、それがなんだかとても面白かった。
朝起きると、だんな様は白衣と袴の上に狩衣(平安時代の貴族の装束)を着て、神社へと向かう。
そして太鼓をたたくとお祓いをし、神様にお供えをして祝詞をとなえる。
真冬の寒い頃でも神社の扉を開け放ったまま、地域の人々の安寧を祈る。
その後ろ姿を見ているのが私は好きだった。
(私のだんな様は福島県でいちばんえらい神主さんだ)
そう思っていた。
木犀の金の香もかぐわし宮の朝
祭り告げる太鼓の響きよ
宮守る人の心すがし朝祭
郷の幸え祈る言霊
田を渡る風に乗り
まだ明けぬ故郷の
空に溶けこの日を言祝ぐ
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