きっかけは宮司の一言
「今使ってる、古い鹿島大神宮の印があるでしょう。あの字はとてもいいから、あのまま大きく作って、ご朱印にしたいと思ってたんだ」
たしかにその「鹿島大神宮之印」は、古めかしくて雰囲気のある字だと思ってました。
「なるほど、それはいい考えだねえ」
と、ハンコ屋さんへ。
「たしかにかっこいい字ですねえ。この書体はないから手彫りになりますけどいいですか」
ちょっとお値段的にも大変だけど宮司の希望だし、見積りをお願いしました。
元にする印影は今度伺ったときに押す、ということにしました。
社務所に戻って、あらためて角印を見ると、ずいぶん目詰まりしています。
今まで気にしたこともなかったのですが、思えば私が押すようになってからも2年以上たっていますし、その間お手入れなどしたことはありません。
「これを元に作るんだから、ちょっとお手入れしてみよう」
爪楊枝とティッシュを持ち出して、傷めたりしないように、そーっとそーっと詰まったところを掘り出しました。
これが面白い。
あっという間に一時間以上がたちました。
「もういいかな」
大満足で、試しに押してみました。
ーウーンっとー
「あれ?」
お掃除したのだから、すっきりしたのは当たり前ですけど、なんだか…
「もう一度押してみよ」
ーウーーンっとー
「あ~れ~?」
もしかして…やっちゃった? これって、書体見本にあった古印体に限りなく近いような…
…ハンコの目詰まりって「味」だったのかなあ。
何十年もかけて代々押し続けて出てきた風格を、私がきれいさっぱり洗い流しちゃったってわけ?
次に行ったときに話したら、はんこ屋さんも笑ってました。
しょうがないからまた今日から一押しずつ歴史を積み重ねていこう。
それはともかく、新しくできたご朱印がこれ。
線は少し太めにしてもらいました。
まあ、ご朱印のハンコなんて新しいより古い方がいいのかもしれませんが、何にも新しい時はあるのです。
次の時代にはこれもいい感じになるでしょう。
追伸 これを押すようになって、御朱印帳に押すご朱印が一つだけって、ごまかしがきかないと言うことがわかりました。
今までは真ん中に宝珠のような形の大きな印影があって、「宮」の字に重ねてくだんの角印を押していたので、字がちょっと、という時でも、印影さえちゃんと押されていればなんとかなっていたのですね。
…こんどは社紋の印章、作ろうかな…
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