だれがお供えしたのかな?

秋の頃のお話 

朝のお祭を終えて、拝殿を出ようとしたとき、 

「あれ」 

拝殿に上がる階段に小さな山の栗がいくつか置いてある。

 (上るときには気づかなかったけど…だれかがお供えしたのかな?) 

山で拾った栗をお供えしたのはだれだろう。子どもかな、それともお山のきつねかたぬきかな。 

拾い上げて拝殿に戻り、さきほどお供えしたお米の隣にそっと置いた。  

夕方お供えを下げるときに、栗はそのまま三方の上に残しておいた。   

「ぼくのお供えした栗、なくなってたよ。神様が食べたのかな?」 

どこかできつねの子がお母さんに報告しているかもしれない。  

数日後、お宮を開けて、お供えをしようと三方を見ると… 

「ありゃ」

 忘れていた栗のわきに、ころんころんに太った栗虫が。 

「…お直会したのね」 

三方ごと持ち上げて外へ持って行き、お山に帰してあげました。 

鎮守の森にようこそ

神社や鎮守の森でおこった出来事、社務をとりながら考えたことなどをつづりました。  禰宜 雅子

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